査定のチェックポイントは?収益物件を高く売却するコツを紹介
収益物件の主な査定方法は「原価法」「収益還元法」「取引事例比較法」の3種類です
。原価法は、金融機関がローンの担保価値を評価する際に用いられ、建物の再調達原価と経年減価修正を基に査定します。収益還元法は、将来の収益性に着目した方法で、直接還元法とDCF法の2つの手法があり、主に投資家が利用します。取引事例比較法は、類似物件の価格データを基に価値を算定する方法です。
査定には、入居率、築年数、設備状況が大きく影響します。特に入居率が高く、築年数が浅く、設備が充実した物件は高評価を得られます。査定の際には、複数の不動産会社に依頼し、必要書類を事前に準備しておくことが重要です。
また、満室時や大規模修繕前の売却、利回りの向上、収益物件専門の不動産会社への依頼が高値売却のポイントとなります。
目次
収益物件の査定方法は主に3種類
収益物件の査定では、不動産会社が入居率、築年数、設備状況、修繕積立金などを確認します。査定額は、これらの要素に加え、市場の動向や買い手と売り手の需給バランスなども踏まえて決定されます。
◇原価法
金融機関が収益物件を査定する際に用いられる査定法の一つです。原価法を用いるのは、ローンの担保価値を評価し、返済が滞った際に物件を売却して回収できるかを重視するためです。
原価法では、現在の再調達原価(物件を新たに建築・造成する費用)から経年による減価修正を行い、不動産の価値を算出します。計算方法には、対象物件を直接調査する「直接法」と、類似物件のデータを参考にする「間接法」があります
◇収益還元法
収益還元法は、物件の将来の収益性に基づいて不動産の価値を査定する方法で、主に投資家が活用する方法です。
投資家にとって重要なのは、「利回りがよく、収益性の高い物件」であり、そのため、現在の物件価値に重点を置く積算評価よりも、将来の収益性を反映した収益還元法が、投資家の関心に合致します。
収益還元法は主にアパート、貸家、貸店舗など収益を生む物件に適用され、金融機関も収益還元法を一定程度考慮します。
収益還元法には2つの手法があり、こ目的や状況に応じて使い分けられます。
・直接還元法
不動産の1年間の純利益を還元利回りで割り、その価値を算出します。純利益は収入から経費を差し引いた実質的な利益を指し、この方法は計算が簡単で、現在の収益力を基に迅速に評価できます。
・「DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)」
将来の収益と売却時の価値を予測し、それらを現在価値に割り戻して評価するもので、収益の変動やリスクも考慮できる精密な手法ですが、計算は複雑です。
◇取引事例比較法
取引事例比較法は、類似物件の取引価格を基に不動産価値を推定する方法です。主に「土地」や「区分所有マンション」の査定に用いられます。近隣や類似物件の取引データを基に価格を算出し、データの質と量が査定の精度に大きく影響します。
そのため、多くの事例を集められる場合に適していますが、データ不足や市場の不安定な時期には他の方法と併用されることが一般的です。
収益物件を査定する際のチェックポイント
収益物件は査定方法に加えて、さまざまな要素によって最終的な査定価格が決まります。
◇入居率
賃貸物件や商業ビルなど入居率は、収益物件の査定価格に大きく影響します。
入居率とは、物件の総部屋数に対して入居している部屋の割合を示します。収益物件の場合、入居者が多く空室が少ないほど家賃収入が期待できるため、入居率が高い物件は査定額も高くなるのです。
また、安定した入居率が長期間続いていることを証明できれば、さらに高い評価が得られる可能性があります。逆に、空室率が高い物件は市場価値が下がる可能性があり、好ましくないと見なされることもあるようです。
◇築年数
物件を査定する際、築年数は重要な要素です。一般的に、築年数が浅い物件は新しい設備や性能を備えており、耐久性や収益性が高いため、査定額が高くなります。
一方、築年数が古い物件は経年劣化が進んでいるため、建物の構造や品質に不安があり、査定額が低くなりがちです。ただし、築年数だけで査定額が決まるわけではなく、利回りが高い場合などは、古い物件でも高評価を得ることがあります。
◇設備
物件査定において、設備は重要なチェックポイントです。最新の設備が整った水回り(トイレ、浴室、キッチンなど)の物件は人気が高く、査定額も上がりやすいです。
さらに、オートロックや浴室暖房機・浴室乾燥機、宅配ボックス、無料Wi-Fiなどの設備は、防犯や利便性を高めるため、入居者にとって非常に魅力的です。
これらの設備は、年齢や性別、人数に関係なく、多くの入居者に人気があり、物件の魅力を引き上げ、入居率の向上にも繋がります。
◇区分マンションは修繕積立金も
区分マンションの査定では、修繕積立金の積立率も重要なポイントです。積立率が低いと、大規模修繕が必要になった際に積立金で対応できなくなる可能性があり、その結果、査定額が低くなることがあります。
査定を依頼する際に気を付けたいポイント
収益物件の価格を左右する重要なポイントを理解しておくことは、売却時に損をしないために非常に大切です。しっかりとこれらの要素を把握して、適切な査定を受けるようにしましょう。
◇必要書類を準備しておく
収益物件の査定を不動産会社に依頼する際、必要な書類を事前に揃えておくとスムーズです。査定の段階ではすぐに提出しなくても良い場合がありますが、契約時には必須となるため、早めに準備しておきましょう。
必要な書類は以下の通りです。
・登記簿謄本
物件の所有権や権利関係を確認するために必要です。
・公図
土地の位置や境界を示す図面で、物件の場所や形状を確認できます。
・土地の測量図または建物の図面
物件の正確なサイズや構造を確認するために必要です。
・登記権利証または登記識別情報
物件の所有権を証明するために必要な書類です。
・身分証明書
取引を行うための本人確認が求められます。
・印鑑証明書
契約時に必要な公式な印鑑の証明書です。
これらの書類を事前に準備することで、契約手続きがスムーズに進みます。
◇複数の不動産会社に依頼する
不動産会社によって、物件の価値や想定利回りの評価方法が異なるため、1社だけの査定では情報が偏る、あるいは強みを活かしきれない可能性があります。実際、同じ物件でも不動産会社ごとに査定額が2~3割も異なることは珍しくありません。
複数の不動産会社に査定を依頼して比較することで、売却価格の相場を把握しやすくなり、より納得のいく取引ができる可能性が高まります。
◇目的によって査定時の考え方が異なる
収益物件の査定を依頼する際には、居住用物件と投資用物件では評価の観点が異なることを理解しておきましょう。購入者が重視するポイントが異なるため、査定基準にも違いが生じるからです。
居住用物件では、間取りや周辺環境など、実際に住んだ際の快適さや利便性が査定に影響し、一方で、収益物件の場合は、家賃下落や空室リスクが低いことなど、将来的な収益性が査定額に直結します。
収益物件の売却価格を高めるコツ
不動産投資物件の売却では、高値での売却と失敗のない売り時や会社選びが重要です。
◇売却時期を見極める
収益物件は、満室時や大規模修繕の直前に高値で売れる傾向があります。特に満室の場合、安定した家賃収入が期待できる点が買い手にとって大きな魅力となり、物件の価値が高く評価されやすいです。
一方、建物の老朽化が進み、修繕費が売却代金を超える恐れがある場合、修繕を行う前に売却を検討することが得策です。適切なタイミングで売却することで、修繕費用を回避しつつ、資産の価値を最大限に活かせます。
◇利回りを上げる
収益物件の売却価格は、利回りを基準に算定されるため、利回りが高いほど査定額も上がる傾向があります。利回りを向上させるには、適切なタイミングで設備を交換したり、定期的な清掃を徹底したりして、物件を常に良好な状態に保つことが重要です。
これにより、入居者からの評価が高まり、空室リスクの軽減や安定した家賃収入の維持にも繋がります。小まめなメンテナンスが、結果的に高値売却の可能性を引き上げるカギとなります。
◇収益物件の売買が得意な不動産会社に依頼する
不動産会社によって得意とする物件の種類は大きく異なります。居住用不動産の売却と収益物件の売却では、注目すべきポイントや査定基準が異なるため、これらを混同しないことが重要です。
特に収益物件の査定では、将来の収益性や投資価値が重視されるため、経験や専門知識が必要となります。そのため、収益物件の査定は、収益物件の売買を専門的に扱う実績豊富な不動産会社に依頼することが、より高い価格で売却するための第一歩となります。
◇資産価値が高いうちに売却
不動産は経年劣化や設備の老朽化に伴い、築年数が長くなるほど資産価値が下がります。ただし、修繕に費用をかけても、下がった価値を取り戻せるケースは少ない点に注意が必要です。
収益と経費のバランスを考慮し、不動産の価値が大きく下がる前に売却を検討することが重要です。
収益物件の査定方法には、大きく分けて「原価法」「収益還元法」「取引事例比較法」の3種類があります。
原価法は金融機関が主にローンの担保価値を評価する際に使用される方法で、建物を新たに建築する際の再調達原価から、経年による減価修正を行って価値を算出します。
収益還元法は、不動産の将来的な収益性に着目した方法であり、主に投資家に利用されます。この方法には、1年間の純利益を基に算出する「直接還元法」と、将来の収益や売却価値を現在価値に割り戻して評価する「DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)」があります。
取引事例比較法は、類似物件の取引価格を基に不動産の価値を推定する方法です。主に土地や区分所有マンションの査定に用いられ、近隣地域や類似物件のデータの質と量が査定精度を大きく左右します。
さらに、収益物件の売却価格を高めるためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。収益物件は満室時や大規模修繕の直前に高値で売れる傾向があります。売却価格を上げるためには、設備の改善や清掃を徹底して利回りを向上させることが重要です。
査定や売却を依頼する際には、収益物件の売買を専門とする不動産会社を選ぶことが重要です。不動産会社ごとに得意分野が異なるため、専門知識や経験を持つ会社に依頼することで、より高い売却価格を実現しやすくなります。