収益物件売却時の費用を最小限に!買取費用の内訳と仲介手数料の算出方法
収益物件の売却には「仲介」と「買取」の2つの方法があり、それぞれ特徴があります。仲介では市場価格に近い高値で売却できる可能性がある一方、売却までの時間がかかり、仲介手数料が発生します。仲介手数料は売却価格に応じた法律で定められた上限額があります。
一方、買取は売却が迅速で、仲介手数料が不要な利点があるものの、市場価格より低い値段になる傾向があります。売却時の費用削減方法として、自身で手続きを行う、5年以上所有してから売却する、また特別控除を活用するなどの手段があります。これらの工夫により、売却利益を最大化することが可能です。
目次
収益物件売却時の費用を最小限に!買取費用の内訳と仲介手数料の算出方法
収益物件の売却方法には、大きく分けて「仲介」と「買取」があります。どちらの方法を選ぶかによって、かかる費用や手間が異なるため、慎重な判断が求められます。特に、仲介では仲介手数料が発生するかどうかが、売却費用の大きなポイントです。
◇仲介による売却
仲介による売却は、不動産会社が売主と買主の間に立ち、買主を探し出して収益物件を売却する方法です。仲介による売却の大きな魅力は、市場価格に近い価格やそれ以上の価格で売却できる可能性がある点です。市場価格に近い価格で売却できる可能性が高いことは、売却価格を最大化したい人にとっては大きな利点です。
その一方で、買主が見つかるまで時間がかかることもあり、仲介を利用した場合は不動産仲介業者に売買代金に応じて仲介手数料を支払う必要があります。
◇買取による売却
買取による売却は、不動産会社が収益物件を直接買い取る方法です。不動産買取を利用する最大の利点は、売却手続きが速く終わり、短期間で不動産を現金化できる点です。
なおかつ、買取による売却では仲介手数料が発生しないため売却にかかる諸経費を節約できるという利点もあります。広告活動を行わないため、近隣住民に売却が知られる心配も少ない点も魅力です。
ただし、買取による売却は、市場価格より低い価格になることが多く、結果的には売却金額が低くなる可能性があります。また、収益性が極端に低い物件は買取を断られることも少なくないため、すべての物件で使える方法ではないことにも注意すべきです。
収益物件売却時に発生する仲介手数料の算出方法
仲介で収益物件を売却する際、発生する費用の一つに仲介手数料があります。仲介手数料は、売却益に大きな影響を与えるため、その詳しい内容を理解しておくことが重要です。
◇そもそも仲介手数料とは
仲介手数料とは、不動産の売買を成功させた際に、不動産会社が受け取る報酬のことです。仲介手数料は、不動産を仲介する不動産会社が売主とやりとりをしながら物件の広告をみつけ、購入希望者を案内したり、契約を進めたりすることに対して発生する手数料です。
仲介手数料は、法律で不動産仲介業者が受け取れる上限金額が定められています、しかし、不動産会社の中には、物件の広告に対して法外な金額を請求する業者がいるため、仲介を依頼する前に事前に仲介手数料の金額や行う業務を確認することが必要です。
◇仲介手数料の算出方法
法律によって定められた金額は、売買代金が200万円以下の物件であれば売買代金の5%に消費税を加えた金額、200万円を超え400万円以下の売買代金の物件であれば売買代金の4%+2万円に消費税を加えた金額です。また、400万円超えの物件であれば売買代金の3%+6万円に消費税を加えたものが仲介手数料の上限金額です。
例えば、1000万円の売却の場合、仲介手数料は次のように計算されます。
(1000万円 × 3% + 6万円) × 1.1 = 39万6千円
※法改正により、低廉な空き家の売買では、売買代金が800万円以下の場合、一律の仲介手数料上限は33万円(税込み)となりました。
買取費用を確認!収益物件の買取時にかかる主な費用
買取による売却では仲介手数料は発生しませんが、仲介同様にさまざまな費用が発生します。買取の際に発生する費用を事前に把握しておくことで、予期せぬ出費を防ぐことができ、資金計画を円滑に進めることが可能です。主に発生する費用は、税金とその他の費用に分類されます。
◇税金
まず、税金には必ず発生するものと、状況に応じて発生するものの二つに分けられます。
・必ず発生する税金
必ず発生する税金には、印紙税、登録免許税、消費税が含まれます。
印紙税:買取契約書を作成した際に、契約書に張り付ける収入印紙の購入に必要な費用で、契約書の記載金額に応じた税率が適用されます。
登録免許税:物件の名義を変更する際に必要な費用です。通常は買主が負担するケースが多いですが、売主が一部を負担する場合もあるため、事前の確認が必要です。
消費税:土地部分にはかかりませんが、建物部分には課税されます。
・状況に応じて発生する税金
具体的には、抵当権抹消手続きにかかる登録免許税、譲渡所得税、消費税が該当します。
登録免許税:物件に抵当権が設定されている場合、その抵当権を抹消するための手続きが必要です。抵当権を抹消する手続きでは、登録免許税がかかります。
譲渡所得税:物件を売却した際に利益が発生すると、譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税は、売却価格から取得費用や売却費用を差し引いた金額に対して課される税金です。
・その他の費用
その他の費用としては、以下のようなものがあります。
司法書士の報酬:売却に伴う登記変更や必要書類の作成を司法書士に依頼した際に発生します。報酬には、消費税が課税されます。
手続きに必要な書類の再発行費用:権利証や登記識別情報、印鑑証明書を紛失した場合は、再発行が必要です。
売却時の買取費用を安くするためのポイント
収益物件を売却する際、買取費用を安くするための工夫を行うことで、最終的な利益を増やすことが可能です。費用の削減方法はさまざまですが、手続きの工夫や所有期間の見直し、税制優遇の活用などが効果的です。
◇必要な手続きは自身で行う
売却費用を抑える方法の一つとして、自身で必要な手続きを行うことが挙げられます。たとえば、抵当権が設定されている物件の場合、抵当権を抹消する手続きが必要です。通常は司法書士に依頼することが一般的ですが、自分で手続きを行えば司法書士の報酬を節約できます。抵当権抹消手続きは、法務局で必要な書類を提出することで進めることが可能で、金融機関から交付される抵当権抹消証書や物件の登記事項証明書が必要です。手続きそのものは難しくはなく、法務局の窓口やインターネットで情報を確認できるため、手間はかかりますがコスト削減が可能です。
◇収益物件を5年所有してから売却する
収益物件を5年以上所有してから売却する方法も、費用を安くするための有効な手段です。物件の所有期間が5年以下の場合、譲渡所得にかかる税率は39.63%と高く設定されていますが、5年超えて所有している場合は20.315%に軽減されます。
所有期間に基づいて物件の売却を計画することで、売却時の税負担を大幅に軽減することが可能です。
◇特別控除を適用する
特別控除には、さまざまな種類がありますが、特に代表的なものに「平成21年および平成22年に取得した土地の特別控除」があります。平成21年および平成22年に取得した土地の特別控除では、一定の要件を満たした土地の売却時に、1000万円の控除を受けることが可能です。
特別控除を適用するためには、売却する物件が控除の適用要件を満たしている必要があるため、事前に確認しておくことが大切です。特別控除は税額の減額効果が大きいため、適用が可能な場合は積極的に活用するべきです。
収益物件の売却には、「仲介」と「買取」の2つの方法があり、それぞれ異なる特徴を持っています。仲介による売却は、市場価格に近い価格での売却が期待できますが、売却までの時間がかかる点がデメリットです。仲介手数料が発生するため、物件価格の一定割合を支払わなければなりません。
この手数料は売却価格に応じた法律で定められた上限があり、例えば1000万円の物件ならば最大で39万6千円(税込み)となります。これは不動産仲介業者が売主と買主の間に立ち、広告活動や契約交渉を行うための報酬です。
一方、買取による売却は迅速な現金化が特徴で、仲介手数料が発生しないため、売却のコストを大幅に抑えられる点が魅力です。ただし、買取価格は市場価格よりも低く設定されることが一般的で、特に収益性が低い物件や市場での人気が少ない物件では断られることもあります。市場価格よりも低い価格での売却が心配な場合は、慎重な選択が必要です。
収益物件の買取時には、仲介手数料は不要ですが、税金やその他の費用が発生します。主な費用は、印紙税、登録免許税、消費税などで、状況に応じて譲渡所得税や司法書士の報酬もかかる場合があります。事前に費用を確認しておくことで、予期せぬ出費を防ぎ、資金計画を円滑に進めることが可能です
収益物件の売却時には、費用を削減するための工夫も重要です。手続きを自身で行うことで、司法書士の報酬を削減することができます。例えば、抵当権抹消手続きや必要書類の再発行を自分で行えば、数万円のコスト削減が可能です。
また、物件を5年以上所有することで譲渡所得税が軽減されるため、売却時の税負担を減らせます。特別控除も活用することで、さらに税額の軽減が見込めます。特に、平成21年と22年に取得した土地の売却時には、1000万円の特別控除を受けられる場合があります。