収益物件の買取とは?業者の選び方や注意点を解説
収益物件の売却方法には、買取と仲介があります。買取は早期に売却が可能で手間や費用を抑えられますが、価格が相場より低くなることが多いです。高額で売却するには、修繕や入居率管理が重要です。
目次
収益物件の買取とは?
収益物件を売却する方法には、買取と仲介の2つの方法があります。これらは、手間や時間、費用において異なる特徴があります。以下では、それぞれの特徴と違いについて詳しく解説します。
◇買取とは?仲介との違い
不動産会社による買取は、物件を直接不動産会社が購入する方法です。これにより、買主を探す手間が省け、早期に売却を完了することが可能です。仲介手数料がかからないため、費用も抑えられます。
また、物件の清掃やリフォームも不要で、これらにかかる手間やコストを削減できます。さらに、広告に物件情報が掲載されないため、プライバシーが守られ、周囲に売却を知られる心配も少なくなります。
一方、仲介の場合は、売主が不動産会社に物件の売却を依頼し、買主を見つけてもらう方法です。物件情報がポータルサイトや広告に掲載され、広範囲に売却活動が行われます。
不動産会社は物件の売却から引き渡しまでサポートしてくれるため、安心して進められます。しかし、買主が見つかるまで時間がかかる可能性があり、売却スケジュールに余裕を持っておくことが求められます。
◇収益物件の買取先
収益物件を買い取る業者は、主に「収益物件の買取専門業者」と「収益物件の売買仲介専門業者」に分かれます。買取専門業者は、物件を直接購入する業者です。再販する場合や、リノベーションを加えて販売することもあります。
また、買取業者は自社の資産として保有することもあります。これにより、物件オーナーは買主を探す手間を省けるという利点があります。
一方、売買仲介業者は、売主と買主をつなぐ仲介を専門に行います。物件オーナーと媒介契約を結び、広告を通じて買主を見つける仕組みです。買主が見つかると、売主と買主を調整し、契約の締結や引渡しをサポートします。このように、仲介業者は直接物件を購入することはなく、仲介手数料を収益とします。
収益物件の買取は不利?
収益物件を買取業者に売却する際、いくつかの注意点があります。特に価格や物件の種類に関する条件を理解しておくことが重要です。
◇買取価格は相場よりも安くなりがち
買取業者は物件を買い取った後、再販して利益を得るため、相場価格に近い金額での買取は難しいです。一般的には、買取価格は相場の7~8割程度になることが多いです。これは、購入後にリノベーションや修繕費用がかかること、また、売却できないリスクを業者が負うためです。これらの要因が、価格を下げる理由となっています。
◇どんな物件でも買取が可能とは限らない
すべての物件が買取業者によって買い取られるわけではありません。業者ごとに買取基準があり、物件の状態や種類によっては買取が難しい場合があります。特に、物件の利回りが低い場合、買取が難しくなることがあります。
利回りは投資家にとって重要な指標であり、地域ごとの想定利回りに基づいて売却価格が決まります。利回りが低いと、投資家にとって魅力が薄れ、買取が困難になることがあります。
また、再建築に制限がある物件や建築基準法に適合しない物件は買取が難しいです。例えば、接道義務を満たしていない物件や建ぺい率を超過している物件などは、業者が再販できないため敬遠されます。
老朽化が進んだ物件や構造的な問題がある物件も、リノベーション費用が高額になるため、買取業者に避けられることがあります。さらに、心理的瑕疵物件や共有権利者がいる土地も再販が難しく、買取対象外となる場合があるため、事前に確認しておくことが大切です。
収益物件をより高額で買取に出すには
収益物件を高く売却するためには、修繕や入居率の管理が重要です。これらの準備を行うことで、物件の魅力を高め、売却価格に好影響を与える可能性があります。
◇最低限の修繕をしておく
雨漏りが懸念される場合は、防水工事を行うことが大切です。売却後に雨漏りが発覚すると、「契約不適合責任」を負うリスクがあるため注意が必要です。契約不適合責任とは、売買契約において、物件が契約内容に合致しない場合、売主がその責任を負うことを指します。
また、鉄骨階段の錆や腐食は、ペンキ塗装で簡単に修繕でき、費用も比較的安価です。さらに、空室の部屋が原状回復されていない場合は、買主が賃貸募集を開始できるようにリフォームを検討しましょう。こうした最低限の修繕を行うことで、物件の印象が良くなり、売却に有利に働くことがあります。
実際、塗装工事に800万円をかけた結果、物件の売却価格が9500万円に増加した事例もあります。このように、修繕による投資が利益を生む可能性があります。
◇入居率を高めておく
収益物件を高く売るためには、適切なタイミングで売却することが基本です。特に、売却時には満室またはそれに近い高い入居率を維持していることが理想です。入居率が低下すると、収益物件としての魅力が減り、買い手を見つけるのが難しくなる可能性があります。最悪の場合、値下げを検討することになるかもしれません。
そのため、入居率が低下する前に、高い状態を維持しつつ売却を進めることが最適なタイミングです。入居率が高ければ、その物件が賃貸需要を満たしている証拠となり、収益物件としての価値が向上します。
売却予定時に空室がある場合は、フリーレントなどを活用して入居率を高める努力をしましょう。ただし、安易に家賃を下げることは避け、収益性が低下しないように注意が必要です。
処分に困っていた収益不動産の買取事例
収益物件を売却する際、買取の選択肢が有効です。築年数が古くても、立地や状況に応じて、買取で売却することが可能です。以下に、買取による成功事例を紹介します。
◇築50年のマンションを買取
長年賃貸されていた築50年のマンションの売却事例です。賃借人が施設に入って亡くなり、再び管理するのが負担となった売主様は、手放す決心をしました。物件は古いため、売却が難しいと考えられていましたが、幹線道路沿いで周囲に商業施設やバス停があり、利便性が高いため、買取で売却が実現しました。
物件はフルリノベーションされ、新築のような内装に仕上がりました。広いリビングに変更し、間取りも3LDKから2LDKに変更。家族でも老夫婦でも快適に住めるような仕様に生まれ変わりました。
◇相続したアパートを買取
兄弟で相続した一棟アパートの買取事例です。全室が空室で、できるだけ早く現金化したいというご要望がありました。敷地内には別のアパートの入居者もおり、裏には売主様の自宅がある広い土地でした。
売主の希望は、「できるだけ早く現金化したい」「手間をかけず、費用をかけずに売却したい」ことでした。さらに、一部土地を自宅への進入路として残したいという要望もありました。これらを考慮した上で、買取という形で最適な条件で取引が完了しました。
収益物件を売却する方法には、買取と仲介の2つがあります。それぞれ特徴や利点が異なり、売主の状況に応じて選択肢が変わります。買取は不動産会社が物件を直接購入する方法で、早期に売却を完了でき、手間や費用を抑えることができます。一方、仲介は売主が不動産会社に依頼し、買主を見つけてもらう方法ですが、時間がかかることがあります。どちらの方法が適しているかは、売主の状況によります。
買取業者は「収益物件の買取専門業者」と「売買仲介業者」の2種類に分かれ、買取専門業者は物件を直接購入し、再販やリノベーションを行います。売買仲介業者は物件の仲介を行い、手数料を収益として得ます。
収益物件を買取業者に売却する場合、注意すべき点があります。まず、買取価格が相場より低くなることが一般的で、買取価格は相場の7~8割程度になることが多いです。これは、リノベーションや修繕費用、売却リスクを業者が負うためです。また、物件の状態や種類により、買取が難しい場合もあります。特に、利回りが低い物件や再建築に制限がある物件、老朽化した物件は買取が困難となることがあります。
収益物件を高く売却するためには、最低限の修繕や入居率の管理が重要です。雨漏りが心配な場合は防水工事を行い、鉄骨階段の錆などはペンキで修繕できます。また、空室がある場合は、リフォームを行って買主がすぐに賃貸募集できるようにすることも有効です。入居率を高めることも大切で、満室または高い入居率を維持している物件は魅力的とされます。
買取による成功事例もあります。築50年のマンションでは、利便性の高い立地条件により買取が成立し、フルリノベーションで新築同様に生まれ変わりました。また、相続したアパートも、全室が空室であったものの、早急に現金化を希望する売主の要望に応え、最適な条件で買取が成立しました。
収益物件の売却を考える際には、買取のメリットやデメリットをしっかり理解し、最適な選択をすることが重要です。