収益物件売却時に知っておきたい税金の種類と譲渡所得税の算出方法

収益物件売却時には、消費税や譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は所有期間により税率が異なり、5年以上の所有で税率が軽減されます。事業用資産の買換え特例を活用することで、税負担を繰り延べることが可能です。
目次
収益物件売却の際に見過ごせない税金
収益物件の売却には、居住用物件と異なる点が多いため、事前に理解しておくことが大切です。特に、税金面での違いが売却時に大きな影響を与えることがあります。以下に、収益物件の売却に関する重要なポイントを説明します。
◇居住用物件の売却との違い
収益物件の売却では、居住用物件とは異なり、建物部分に消費税が課税される点が重要です。これは、収益物件が「事業用資産」とみなされ、売主が課税事業者である場合に適用されます。具体的には、建物部分の売却価格に消費税が加算されますが、土地部分については非課税となります。この点を理解しておくことが重要です。
また、居住用物件には「3,000万円の特別控除」や「10年超所有軽減税率」などの特例が適用されることが多いですが、収益物件の売却にはこれらの特例は適用されません。そのため、収益物件の売却では、居住用物件よりも税負担が重くなる傾向があることを認識しておくべきです。税負担を軽減するためにも、売却前に税金面の準備を整えることが求められます。
◇売却時にかかる税金の把握が重要
収益物件を売却する際には、さまざまな税金が発生します。具体的には、「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」などがあります。その中でも、譲渡所得税が高額になることが多いです。この税金は、売却価格から取得費用や譲渡費用を差し引いた利益に対して課されます。
また、売却物件の所有期間によって譲渡所得税の税率が変わるため、この点も重要です。所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」として高い税率が適用され、5年を超える場合は「長期譲渡所得」として税率が低くなります。さらに、課税対象となるのは所得税だけではなく、住民税や復興特別所得税も含まれます。これらの税負担を軽減するためには、売却時期や節税対策を計画的に考えることが大切です。
収益物件売却時にかかる税金

不動産の売却においては、複数の税金が発生します。それぞれの税金の内容と計算方法を把握し、適切に対応することが重要です。
◇印紙税
印紙税は、不動産売買契約書など、課税対象となる文書を作成する際に課される税金です。
契約金額に応じて税額が変動し、収益物件の売買では税額が1万円から6万円程度になることが一般的です。例えば、契約金額が1億円を超える場合、税額は軽減措置が適用されて3万円となります。この軽減措置は令和6年3月31日まで有効ですので、適用条件を確認しておきましょう。
もし契約書に印紙を貼付せずに済ませた場合、本来の印紙税額の3倍に相当する過怠税が課されることがあるため、十分な注意が必要です。
◇登録免許税
登録免許税は、不動産登記に関連する税金です。売却時には主に抵当権抹消に伴う手続きで課税されます。
1つの不動産に対しては、抵当権抹消手続きで1,000円が課税されます。収益物件の場合、土地と建物の両方に課税されるため、合計で2,000円の税額が発生します。
抵当権抹消の手続きは司法書士に依頼することが一般的で、その際には税金に加えて手数料(約15,000~20,000円)もかかります。
◇譲渡所得税
譲渡所得税は、売却による利益に課される税金で、税額が最も大きくなることが多い税目です。
譲渡所得税には、所得税、住民税、復興特別所得税が含まれます。税率は物件の所有期間により異なり、所有期間が5年以上の場合には「長期譲渡所得」として20.315%、5年未満の場合には「短期譲渡所得」として39.63%の税率が適用されます。
売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた譲渡所得が課税対象となります。利益が出なかった場合には、譲渡所得税は発生しません。詳細な計算方法は次章で解説します。
◇消費税
収益物件の売却において、消費税は建物部分にのみ課税されます(課税事業者の場合)。
土地には消費税が課されないため、売却価格を設定する際には建物と土地の価格を明確に分けておく必要があります。
なお、売主が課税事業者でない場合、消費税の納税義務はありませんが、課税売上が1,000万円を超える場合やインボイス制度を利用する場合には、消費税の納付義務が発生します。
譲渡所得税の算出方法
収益物件の売却において、譲渡所得税の正確な算出は極めて重要です。この税額は、売却によって得られる利益、つまり譲渡所得を基に計算されます。
◇譲渡所得税の算出方法
譲渡所得は以下の式で求められます。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
まず、物件の売却価格を示す譲渡収入金額から、取得費と譲渡費用を差し引きます。
取得費には、購入時にかかった費用や、所有期間中に計上された減価償却費が含まれます。ただし、購入時の費用が記録されていない場合は、譲渡収入金額の5%を取得費として扱います。
次に、譲渡費用には、売却に直接関わる仲介手数料や印紙税、立ち退き料などが該当します。これらを差し引いた金額が譲渡所得となります。
譲渡所得からは、条件に応じて特別控除額(例えば収用による場合の5,000万円など)を差し引きます。これにより、課税対象となる譲渡所得が決定されます。
最終的な税額は、この課税譲渡所得に所得税と住民税の税率を掛け算することで求められます。
計算はシンプルに見えるものの、減価償却費の計算や特別控除の適用条件などが関わるため、正確な計算を行うためには注意が必要です。税理士に相談することで、無駄な支払いを防ぎ、シミュレーションを行うことが推奨されます。正確な計算を行うことで、余計な税負担を抑えつつ、効率的な売却が可能となります。
◇所得期間で変わる税率
譲渡所得税は物件の所有期間に応じて税率が異なります。この所有期間は「譲渡した年の1月1日時点」で計算され、短期譲渡所得と長期譲渡所得に分類されます。
所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり、税率は所得税が30%、住民税が9%、復興特別所得税が2.1%加算されます。
一方、所有期間が5年を超える場合、長期譲渡所得となり、税率は所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が2.1%加算されます。
短期譲渡所得の税率は長期譲渡所得の約2倍となるため、できるだけ所有期間を5年以上に延ばして売却することで、税負担を大幅に軽減することができます。
また、平成25年から平成49年まで復興特別所得税が適用されるため、計算の際にはこの点も考慮する必要があります。
最新の税制改正情報を確認し、必要に応じて税理士に相談することで、正確な税額を算出することができます。
収益物件売却時の税金を抑えるには?
事業用資産の買換え特例や収益物件の売却に関する税金を効果的に活用するためには、適切な戦略が必要です。これらの特例をうまく使うことで、税負担を軽減し、投資の効率化が可能となります。
◇事業用資産の買換え特例の活用
事業用資産の買換え特例は、収益物件を売却し、その資金で新たな事業用資産を取得する際に活用できる制度です。この特例を利用すると、売却によって得た譲渡所得の一部が課税対象から除外され、納税を将来に繰り延べることができます。これにより、売却益が発生してもすぐに高額な譲渡所得税を負担せず、次の物件への再投資が容易になります。
ただし、この特例を利用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
第一に、売却する資産と新たに取得する資産のいずれもが事業用であることが求められます。次に、買換え対象の資産は、売却資産の売却年、もしくはその前年または翌年に取得されている必要があります。
さらに、新たに取得する資産の価格が、売却資産の価格以上でなければなりません。
これらの条件を満たすことで、売却資金を効率的に運用し、税負担を軽減することができます。ただし、特例を適用した資産を再度売却する際には、繰り延べていた税負担が課されるため、長期的な投資計画を立てることが重要です。
この制度を賢く活用することで、事業の成長をサポートしながら資金運用の効率化を図ることができます。
◇5年以上所有してから売却
収益物件を5年以上所有してから売却することで、譲渡所得税の税率を大幅に下げることができます。譲渡所得税は物件の所有期間に応じて「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に区分され、税率が異なります。
具体的には、所有期間が5年以下の場合、税率は約39.63%(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)ですが、5年を超えると約20.315%に軽減されます。
税率が約半分に軽減されることで、税負担が大幅に削減され、手元に残る資金が増えます。これにより、次の投資の選択肢が広がります。
ただし、所有期間のカウントは「売却年の1月1日時点」を基準にします。例えば、2019年5月に購入した物件を2024年12月に売却した場合でも、2024年1月1日時点では所有期間が5年未満とみなされ、短期譲渡所得が適用されます。
そのため、売却のタイミングを慎重に計画することが重要です。
収益物件の売却には、税金面で特有の注意点があります。特に、居住用物件とは異なり、建物部分に消費税が課税されることや、特別控除が適用されないことが挙げられます。また、売却時には「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」など、いくつかの税金が発生します。
譲渡所得税は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた利益に対して課税され、所有期間によって税率が異なります。5年以下の所有期間では短期譲渡所得として約39.63%の税率が適用され、5年以上の所有期間では長期譲渡所得として約20.315%に軽減されます。これにより、所有期間を5年以上にすることで、税負担を大きく減らすことが可能です。
収益物件の売却時には、税負担を軽減するために事前に計画を立てることが重要です。例えば、事業用資産の買換え特例を活用することで、売却益にかかる譲渡所得税を繰り延べることができます。この特例を利用するためには、売却する資産と新たに取得する資産がいずれも事業用である必要があり、適用後も再度売却する際には税負担が課せられることを認識する必要があります。
以上のように、収益物件の売却における税金は複雑ですが、適切な戦略を立てることで税負担を軽減し、投資の効率化を図ることができます。
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