収益物件売却に関するよくある質問をQ&Aで一挙公開
収益物件の売却に関しては、方法やタイミング、税金など多くの疑問があります。売却方法には「仲介」と「買取」があり、仲介は高額で売れやすいが時間がかかり、買取は迅速だが価格が低めです。入居者がいる場合でも「オーナーチェンジ物件」として売却可能で、賃貸契約が引き継がれますが、内覧が難しいことがあります。
また、売却の最適なタイミングは、不動産市場の価格や金利、築年数などが影響します。売却価格は不動産会社の査定を参考に決め、売却費用は約4%~6%がかかります。税金では譲渡所得税が主な費用で、所有期間によって税率が異なります。節税方法としては、取得費や譲渡費用の正確な計上が重要です。
売却には専門家のアドバイスを受けることが推奨され、税理士や司法書士などの支援が有益です。
目次
収益物件売却に関するよくある質問
収益物件の売却を検討する際、さまざまな疑問が浮かぶことがあります。売却方法の選択、入居者がいる場合の対応、売却に適したタイミングなど、ポイントを押さえることで、スムーズな売却が可能になります。こちらでは、よくある質問について解説します。
◇売却は仲介と買取どっちがおすすめ?
収益物件の売却方法には「仲介」と「買取」があります。それぞれに特徴があり、どちらを選ぶかによって売却価格や売却期間が異なります。
仲介は、不動産会社が買主を探して売却する方法で、物件が市場価格で売れる可能性が高いのが特徴です。そのため、できるだけ高く売りたい人に向いています。売却までの期間が長引く可能性がある点や、内覧への対応が必要な点はデメリットといえます。
これに対して、買取は不動産会社が物件を直接買い取る方法です。短期間での売却が可能で、内覧対応や物件の清掃が不要なため、すぐに現金化したい人に適しています。しかし、買取価格は市場価格よりも低くなりがちです。
高く売りたい場合は仲介、早期に売却したい場合は買取を選ぶと良いでしょう。
◇入居者がいても売却は可能?
入居者がいる物件でも売却は可能です。入居者がいる場合、物件は「オーナーチェンジ物件」として販売され、買主が入居者の賃貸契約をそのまま引き継ぎます。オーナーチェンジ物件は、家賃収入が得られる投資商品として魅力的な側面がある一方、内覧ができないケースが多い点には注意すべきです。
入居者が住んでいるため、買主は物件の内部を確認できないことが多く、購入をためらう要因になることがあります。また、入居者が長期間住み続ける場合は、買主が物件を自由に運用できない可能性があります。
ただし、家賃収入が安定している物件は、投資家にとって魅力的な物件と見なされる場合もあるため、事前に入居者との賃貸契約内容を確認し、売却戦略を練ることが大切です。
◇収益物件の売却に適した時期は?
収益物件の売却には適したタイミングが存在します。最適な時期を見極めて売却すれば、売却価格を高くすることが可能です。まず、不動産市場の価格が上昇している時期は、売却のチャンスです。不動産市場は景気や需要の変動によって変化するため、市場価格が高いタイミングで売却することで、より高い利益が期待できます。
次に、金融機関の金利が低い時期も売却の好機です。金利が低いと買主が融資を受けやすくなるため、物件の需要が高まります。さらに、築年数が浅い段階での売却もポイントです。物件は築年数が経つほど評価額が下がるため、できるだけ築浅のうちに売却することで、高い価格で売却できる可能性が高まります。
売却価格や売却費用に関するよくある質問
収益物件の売却では、売却価格の決め方や、売却にかかる費用が気になるポイントです。売却価格の決め方や売却にかかる費用を事前に把握することで、スムーズな売却が可能になります。こちらでは、よくある質問について簡潔に解説します。
◇売却価格はだれがどのように決めるの?
収益物件の売却価格は、最終的に売主が決定しますが、不動産会社の査定額が基準となるのが一般的です。不動産会社の査定は、物件の立地や築年数、周辺の取引事例などを考慮して算出されます。査定方法には、周辺の取引価格を参考にする「取引事例比較法」、家賃収入をもとに算出する「収益還元法」などがあります。
売主はこの査定額を参考に、売出し価格を自由に設定できますが、相場よりも高すぎると買い手がつかないリスクがあるため不動産会社のアドバイスを参考にするのがおすすめです。高値での売却を目指す場合は、売却時期や市場の動向も踏まえた価格設定が重要です。
◇収益物件売却にはどれくらいの費用がかかる?
収益物件の売却には、物件の価格の約4%から6%の費用がかかるのが一般的です。代表的な費用には、不動産会社への「仲介手数料」があり、法律で上限が定められています。不動産売買価格が400万円以上であれば、「売却価格の3%+6万円+消費税」の計算式が適用されます。
たとえば、3000万円の物件を売却する場合、仲介手数料は約105万円(税別)です。さらに、売却益が発生した場合は譲渡所得税がかかります。売買契約書にかかる印紙税や、抵当権を抹消する際の登録免許税などが必要であり、売却後の手取り金を見積もる際は、これらの費用を事前に考慮しておくべきです。
収益物件売却時の税金に関するよくある質問
収益物件を売却する際には、税金の負担が大きなポイントです。どのような税金がかかるのか、また節税する方法があるのかを事前に知っておくことで、売却後の手取り額を最大化することが可能です。
◇収益物件売却には税金が発生する?
収益物件を売却すると、主に譲渡所得税、登録免許税、印紙税 、消費税の4つの税金が発生します。譲渡所得税は、売却益に課される税金です。物件の所有期間が5年未満の場合は39.63%、5年以上の場合は20.315%の税率が適用されます。
登録免許税は、土地や建物を所有権移転する際にかかる税金です。一般的には土地は課税標準額の1000分の15、建物は課税標準額の1000分の20の金額を登記する際に納めなければなりません。ただし、登録免許税は通常は物件の購入者が納めることが多いため、契約時に条件を確認する必要があります。
また、印紙税とは契約書に貼らなければならない印紙の購入代金のことです。通常は、売主買主がそれぞれ持つ書類に印紙を貼るため、売買代金に応じた印紙税を売主と買主がそれぞれ負担します。電子契約をする場合は印紙を貼らなく良いため印紙税を節税できます。
一方、消費税は土地にはかかりませんが、建物部分にのみ課税されます。個人が売主の場合、消費税が課されるケースは少ないですが、不動産会社が売主の場合は建物部分の価格に消費税がかかります。たとえば、物件の売却価格が3000万円で、そのうち建物の評価額が1000万円とされる場合、1000万円部分に消費税が課税されます。
譲渡所得税や消費税などの税金の仕組みを理解しておくことが、売却時の手取り額の把握に役立ちます。
◇節税する方法はある?
収益物件を売却する際には、いくつかの節税方法を活用することが可能です。まず、取得費を明確にすることが重要です。取得費には、購入時の代金だけでなく、不動産取得税、仲介手数料、登記費用なども含まれます。取得にかかる費用が分かる書類を保管しておくことで、譲渡所得から差し引くことができ、課税額を減らせます。
さらに、譲渡費用をもれなく計上するのも効果的です。譲渡費用には、不動産会社の仲介手数料、契約書の印紙税、抵当権抹消にかかる登録免許税、司法書士への報酬などが含まれます。譲渡費用を正確に計上することで、譲渡所得が減少し、税負担が軽減されるためもれなく計上することが重要です。
また、所有期間が5年を超えるかどうかは税率に大きな影響を与えます。5年未満の場合、譲渡所得税率は39.63%ですが、5年以上の所有なら20.315%に軽減されます。売却のタイミングを所有期間に合わせることで、税負担を大幅に減らすことが可能です。
収益物件売却時の不安や疑問は専門家に相談
収益物件の売却は、通常の不動産売却と比べて複雑な手続きが必要になる場合が多く、売却の流れや費用、税金に関する不安を抱える人が少なくありません。売却方法の選択や名義変更、税金の計算など、専門的な知識が求められるため、必要に応じて専門家に相談するのがおすすめです。
◇不動産売却に関する相談
収益物件の売却をスムーズに進めるためには、投資用物件の売却を得意とする不動産会社に相談するのが効果的です。不動産会社はそれぞれ得意分野が異なり、居住用不動産を主に扱う会社もあれば、投資物件を得意とする会社もあります。
投資物件の売却では、物件の収益性や投資家の需要を把握している会社の方が、買主を迅速に見つけられます。不動産会社を選ぶ際は、過去の実績や得意分野を確認し、自分の物件に合った会社を選ぶことが重要です。
◇名義変更に関する相談
物件の売却では、名義変更の手続きが必要です。不動産の名義変更は、売買契約の締結後に新しい買主の名義に変更する手続きで、通常は司法書士が代行します。物件に抵当権が設定されている場合や、相続物件を売却する場合は、手続きが複雑になるため、司法書士のサポートが必要です。
また、抵当権が設定されている物件の場合には、抵当権の抹消が必要です。抵当権の抹消には登記に必要な書類の作成や法務局への申請が必要となり、売主が自ら行うことも可能ですが、手続きが煩雑なため、司法書士に依頼するケースのが一般的です。
◇税金や確定申告に関する相談
収益物件の売却では、譲渡所得税や住民税が発生するため、税金に関する不安を抱える方も多くいます。譲渡所得税は、売却価格から取得費用と譲渡費用を差し引いた利益に課される税金です。これらの税金を適切に処理するためには、確定申告が必要です。
税務署では、確定申告の時期に無料の相談窓口を設置しており、税理士によるアドバイスを受けられます。また、売却後の税金の計算が難しい場合は、税理士に相談するのも一つの方法です。特に、控除の適用や税率の判定が複雑なケースでは、確定申告を税理士に依頼することで余計な税金を払う心配がなくなります。
収益物件を売却する際には、方法やタイミング、税金に関して多くの疑問が生じます。売却方法には「仲介」と「買取」があり、仲介は高額で売れやすいが時間がかかる一方、買取は迅速だが価格が低めです。入居者がいる場合でも「オーナーチェンジ物件」として売却可能で、賃貸契約は引き継がれますが、内覧が難しくなることがあります。売却のタイミングは、不動産市場の価格、金利、築年数などが影響し、市場価格が高い時期や金利が低い時期に売却するのが理想です。
売却価格は不動産会社の査定を参考に決めますが、過剰な価格設定は買い手を遠ざける可能性があるため、アドバイスを受けることが重要です。売却費用は約4%~6%がかかり、譲渡所得税が主な税金で、所有期間に応じて税率が異なります。節税方法としては、取得費や譲渡費用の計上が重要です。
税金には譲渡所得税、登録免許税、印紙税、消費税があり、譲渡所得税は所有期間が5年未満で39.63%、5年以上で20.315%が課せられます。節税対策として、取得費や譲渡費用を正確に計上することが効果的です。例えば、購入時の代金や仲介手数料、登記費用などを明確にしておくことで、課税額を減らせます。
収益物件の売却は専門的な知識が必要であり、不安がある場合は不動産会社や税理士に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、スムーズな売却が可能になり、税金面でも適切な対策が取れます。