収益物件のリフォームをするタイミングと収益アップにつなげるポイント
収益物件の運用を安定させ、収益を最大化するためには、適切なタイミングでのリフォームが重要です。築年数の経過や設備の老朽化、入居者からの要望、そして空室が出たときなど、リフォームのタイミングを見極めることで、物件の魅力を維持し、入居率を高めることができます。
また、入居者のニーズに応じたリフォームやコスト管理を行うことで、収益アップにもつながります。こちらでは、効果的なリフォームのタイミングと収益性向上のポイントを詳しく解説します。
目次
収益物件のリフォームをするタイミング
収益物件の価値を維持し、安定した運用を続けるためには、適切なタイミングでリフォームを行うことが重要です。築年数の経過や設備の老朽化、入居者からの要望、そして空室が発生した際など、リフォームを検討するべき時期はいくつかあります。
◇築年数が10年過ぎたとき
築年数10~12年のタイミングは、バス・トイレ・キッチンなどの大型設備の保証が切れるため、修繕や交換を検討する必要が出てきます。特に、水回り設備の故障は、入居者から損害賠償や家賃減額を求められるリスクが高まります。
例えば、水漏れなどのトラブルが発生すると、修理費用だけでなく、入居者とのトラブル処理にも手間がかかるでしょう。こうした問題を未然に防ぐためにも、定期的なメンテナンスや予防的な修繕を行うことが重要です。
◇入居者から要望があったとき
入居者から修繕の要望があった場合は、小規模な修理であっても、迅速に対応することで入居者の満足度を高め、退去を防ぐ効果があります。例えば、水漏れやエアコンの故障などの不具合を放置すると、入居者の不満が蓄積し、最悪の場合、退去の原因となることもあります。
さらに、物件の評価が下がり、空室リスクが高まる恐れもあるため、早期対応が重要です。特に、共用施設やインフラ設備の不具合は、物件全体に影響を及ぼすため、問題が発生した際には速やかに修繕を行うことが求められます。
◇空室が出たとき
入居者がいる間は、室内の修繕や改装が難しいため、空室が発生したタイミングでリフォームを検討するのが効果的です。入居者が退去した後は、通常の損傷や汚れの修繕だけでなく、床の張り替えや壁紙の変更といったリフォームを行うことで、物件の魅力を大幅に向上できます。
これにより、次の入居者を早期に見つけやすくなるだけでなく、物件の資産価値も高まるでしょう。
収益物件のリフォーム費用の目安
画像出典:フォトAC
収益物件のリフォーム費用は場所や内容によって大きく異なり、クロスの張替えやキッチン、浴室、トイレなど、それぞれに応じた費用の目安を把握することが重要です。これにより、予算を効果的に使い、物件の魅力を維持しながら長期的な収益性を確保することが可能です。
◇収益物件にかけるリフォーム費用の目安
不動産投資物件のリフォーム費用の目安は、一般的に賃料の2~3カ月分程度とされていますが、リフォーム内容や物件の状態によって大きく異なります。例えば、通常の原状回復工事に加え、内装のグレードアップや設備の小規模な改善を行う場合は、賃料の2~3カ月分が目安です。
一方、システムキッチンやユニットバスの交換、間取り変更など、リノベーションレベルの工事になると、賃料の6カ月分から数年分の費用がかかることもあります。
◇場所別リフォーム費用の目安
収益物件のリフォーム費用は、場所や内容によって大きく異なります。クロスの張替えは1m²あたり1,000~1,500円が相場で、10畳の部屋では約5万~7.5万円かかります。浴室全体のリフォームは100万円以上かかる場合もありますが、浴槽の交換なら5~10万円、表面コーティングは7~13万円程度です。
トイレは和式から洋式に変える場合、15~20万円が一般的で、温水洗浄機能の追加は2万円程度です。キッチンのリフォームではシステムキッチンのグレードによって50~100万円が相場で、シンプルなものを選べば10万円以下に抑えられます。
収益物件のリフォームでよくある失敗
収益物件のリフォームは、物件の価値を高める重要な手段ですが、計画次第では思わぬ失敗につながることがあります。リフォームにかかる費用が予想以上に膨らんだり、入居者のニーズを見誤ったりすることで、期待した効果が得られないケースも少なくありません。
◇予想以上に費用がかさんだ
工事を進める中で、天井や壁を開けた際に水漏れや予期せぬ構造上の問題が見つかり、当初の計画通りに進められず、急遽工事内容を変更しなければならないことがあります。こうした問題は、壊してみるまで分からない部分が多いため、リフォーム会社も事前調査をしっかり行っていても、予期しない追加費用が発生することが少なくありません。
これを避けるためには、あらかじめ余裕を持った予備予算を設定し、予想外の事態に備えておくことが非常に重要です。予算管理をしっかり行い、リフォーム計画の柔軟性を保つことで、計画以上の出費を抑えられます。
◇入居者のニーズを考慮しなかった
入居者のニーズを十分に考慮しないまま進めたリフォームは、物件の魅力を大きく損なうだけでなく、入居希望者が集まりにくくなる原因にもなりかねません。例えば、学生をターゲットにした賃貸物件で、和室を取り入れたリノベーションを行った場合でも、実際には洋室を好む学生が多いため、期待したような反響が得られないことがあります。
和室のデザインが一見斬新で魅力的に見えたとしても、入居者のライフスタイルや利便性を無視した結果、ニーズと合わず空室が続くリスクが高まります。このような失敗を防ぐためには、ターゲット層が求めるものを事前にしっかりと調査し、彼らのライフスタイルや好みに合ったリフォーム計画を立てることが重要です。
収益物件のリフォームを成功させるポイント
収益物件にリフォームを行うことで、物件の魅力が向上し、収益を高めることが可能です。さらに、物件の質が上がることで入居者の質も向上し、長期的な安定収入が期待できます。また、リフォームによって物件全体の価値が上がるため、将来的な売却時にも有利になるでしょう。
◇費用対効果を考える
フルリノベーションで物件を魅力的にすることは重要ですが、賃貸物件の本来の目的は「入居者を確保し、安定した収益を得ること」です。リフォームに多額の費用をかけても、それに見合う家賃アップが見込めなければ、費用回収に長い時間がかかり、結果的に損失を招く可能性があります。
例えば、300万円のリノベーションを行っても家賃がわずか1,000円しか上がらない場合、費用対効果は非常に低く、投資の回収が困難になります。そのため、リフォーム前に家賃アップの可能性や回収ペースをしっかりと見積もり、無理のない予算設定と工事内容の選定が重要です。
◇入居者の属性の好みをリサーチする
入居者の年齢層、性別、家族構成や生活スタイルを把握し、彼らがどのような部屋を求めているのかを理解することが、リノベーションの成功につながります。
例えば、学生向け物件であれば機能的でコンパクトな部屋が求められ、一人暮らしの社会人向けにはデザイン性や収納スペースが重視されます。このように、入居者のニーズに合ったリフォームを行うことで、空室を減らし、長期的な収益向上が期待できます。
◇コンセプトを決めて差別化を図る
コンセプトをしっかり決めてリフォームを行うことで、物件の個性が際立ち、内見者に強い印象を与え、入居申し込みに繋がりやすくなります。例えば、「ナチュラルテイスト」や「和モダン」「リゾート風」といったテーマを取り入れることで、他の物件との差別化を図ることが可能です。コンセプトを設定することで、空室期間を短くし、物件の魅力を高められます。
◇リフォームの目的に合った業者を選ぶ
目的に合った業者を選ぶことが重要で、一社だけでなく複数の業者から見積りを取り、工事費用や内容を比較検討しましょう。そうすることで、適正な価格や工事内容を把握でき、損を防ぐことが可能です。また、業者にはそれぞれ得意分野があり、原状回復や空室対策、新築工事を得意とする業者などが存在します。そのため、リフォームの目的に合った業者を選ぶことが、成功の鍵となります。
収益物件のリフォームは、物件の価値を維持し、安定した運用を続けるために欠かせません。リフォームのタイミングとしては、築年数が10年を過ぎた際や設備の老朽化、入居者からの修繕要望があった場合、また空室が発生した時が最適です。
特に水回り設備の故障は損害賠償や家賃減額のリスクがあるため、早めの対応が重要です。リフォーム費用は賃料の2~3カ月分が目安ですが、内容や場所により変動します。費用対効果を考慮し、入居者のニーズを把握してリフォームを進めることで、物件の魅力を高め、収益性の向上が期待できます。
また、目的に合った業者を複数検討し、適切な工事内容と価格で依頼することが、リフォーム成功の鍵となります。