収益物件を売却したほうがよいタイミングは?売り時の見極め方を解説
収益物件の売却に適したタイミングでは、市場動向や物件の状態、税制の変化があったときなどが挙げられます。金利や株価が上昇すると、購入需要が高まり売却価格が上がる傾向があります。また、物件の状態が変化するタイミングで売却を検討することも重要です。
特に赤字が続く物件や、修繕が必要になる前に売却することが望ましいです。2025年問題では、不動産市場が価格下落のリスクを抱えているため、築古物件は早めに売却することが推奨されます。特に高齢化や過疎化が進む地域では、早期に売却することで価格下落を防げる可能性があります。
目次
収益物件の売却に適したタイミング
収益物件の売却には、市場の動向や物件の状態、税制の変更など、さまざまな要因が価格に影響を与えます。適切な時期を見極めることで、最大の利益を得ることができるため、売却のタイミングを慎重に判断しましょう。
◇市場が変化したとき
金利や株式市場の動向など、市場環境の変化は収益物件の価格に大きな影響を与えます。例えば、金利が下がると、期待利回りが低くても収支がプラスになりやすくなり、購入需要が高まることで売却価格が上昇します。
また、株価が高騰すると、資産効果により不動産市場に資金が流入し、市場が活発化する場合があるでしょう。さらに、金融緩和が進むと、金融機関の評価額が上がり、不動産価格上昇に繋がることがあります。
取引件数が増えると、事例比較による高値取引が続き、相場が一層活気づきます。このような市場の活性化の兆しを見逃さず、タイミングを見極めて売却することが、成功を収める鍵となります。
◇収益物件の状態が変化するとき
物件の状態が変わるタイミングをしっかり把握し、適切な時期に売却することで最大の利益を得ることができます。例えば、利益を確定したい場合は、安く購入し、高く売ることが理想です。
市場の変動をうまく活用し、売却のタイミングを見極めましょう。逆に、損失を最小限に抑えたい場合は、赤字が続く物件は早期に売却を検討することが重要です。
また、大規模修繕が必要になる前に売却すれば、高額な修繕費用を避けられます。さらに、相場より高い賃料を設定している物件は、投資家にとって魅力的で、高値で売れる可能性が高いです。
物件の収益性を計算し、長期譲渡の税金優遇や退去後の引き渡しを検討することも重要なポイントです。
赤字になっても売却した方がよい?
収益物件が赤字になると、売却すべきか保有を続けるべきか悩むことはよくあります。ただし、「キャッシュフローの赤字」と「会計上の赤字」の2種類があり、それぞれの状況に応じて適切な判断が必要です。
◇売却しなくてもよいケース
会計上で赤字が発生していても、実際のキャッシュフローが黒字であれば、慌てて売却する必要はありません。
不動産投資における「赤字」には、会計上の赤字とキャッシュフローの赤字の2種類があるため、会計上の数字だけで判断するのは危険です。例えば、入居率が高く安定した家賃収入が得られている場合、キャッシュフローが順調に黒字であれば、物件を保有し続けることも十分に選択肢として考えられます。
特に、減価償却費を使って意図的に赤字を計上し、節税効果を得ている場合は、実際の収益に問題がなければ売却を急ぐ必要はありません。重要なのは、会計上の赤字だけに囚われず、実際のキャッシュフローや収益状況をしっかりと把握したうえで判断することです。
◇売却した方がよいケース
空室によってキャッシュフローが悪化し、赤字になっている場合は、早急に売却を検討すべきです。特に一棟物件で空室率が高い状態が続いていると、物件を保有し続けても収支の改善は期待できません。
新たにサブリース契約を結んだり、ローンを借り換えたりすることで改善の可能性はありますが、赤字物件では交渉が難しくなることが多いです。
さらに、物件を保有し続けることで、築年数の経過により空室率がさらに悪化し、入居履歴も悪化します。特に赤字物件は、持ち続けるほど価値が早く下がるリスクがあります。築古の物件なら価格の下落幅は限られますが、築浅物件で空室が増えている場合は、売却損が深刻化する可能性が高いため早めに判断しましょう。
2025年は収益物件を売却するタイミングのひとつ
2025年問題を背景に、不動産市場では価格の下落が懸念されています。人口減少や空き家増加に伴い、供給過多による価格下落が避けられない可能性が高まっています。
特に築古の収益物件は価格が大きく下がるリスクがあるため、資産価値が高いうちに売却を検討することが重要です。
◇2025年を目途に売却
2025年問題を背景に、不動産市場では価格の下落が懸念されています。人口減少や空き家の増加に伴い、供給過多による価格下落が避けられない可能性が高いです。また、国土交通省のデータでも、これまで続いてきた価格上昇が今後も維持される保証はないと示唆されています。
特に、築古の収益物件を保有している場合、価格がさらに下落するリスクがあるため、2025年より前に売却を検討することが重要です。資産価値が高いうちに売却して利益を確定させることで、将来の損失を防ぐことが可能です。
◇投資用マンションは今が売り時
全国宅地建物取引業協会連合会の「不動産市場動向データ集」によると、2024年2月時点で首都圏・近畿圏の投資用マンションは、成約件数と成約平均㎡単価が共に上昇しています。
ただし、新規登録件数や在庫も増加傾向にあり、市場には売り物件が増える兆しが見えています。この状況では、競争が激化して価格交渉が不利になる可能性があるため、売却を検討している場合は早めの行動が重要です。ライバル物件が増える前に売却することで、より高い価格で売れる可能性が高まります。
2025年以降に売却する際の注意点
2025年以降、不動産市場には大きな変化が予想されています。高齢化や人口減少に伴い、特定の地域では不動産価格の下落が進む可能性があります。特に、相続物件の増加や「立地適正化計画」の影響を受ける地域では早期に売却することが重要です。
◇不動産業界の2025年問題を知っておく
2025年問題とは、団塊の世代が全員75歳以上となり、高齢者の増加に伴い空き家が急増すると予測される問題を指します。この背景には、人口減少や高齢化といった社会的な変化があり、不動産市場にも大きな影響を及ぼすとされています。
特に、相続によって市場に放出される物件が増える一方で、不動産を購入する世代の人口が減少し、買い手不足が進むことが懸念点です。さらに、国が推進する「立地適正化計画」により、都市機能が集中するエリアとそうでないエリアで不動産価格の格差が拡大することも指摘されています。
このような市場の変化は、築古物件の売却難や賃貸住宅の空室増加、さらには家賃の下落といった課題を生み、不動産投資の収益性を低下させる要因となるでしょう。
◇地域によっては早期に売却した方が安心
特に注意が必要なのは、高齢者の増加が著しい地域と「立地適正化計画」の対象外となる地域です。
まず、高齢化が進む地方都市や過疎地域では、相続物件や空き家の増加が予測される一方で、住宅需要の低下が進み、不動産価格が下がるリスクが高まります。例えば、内閣府のデータによると、2045年には秋田県の高齢化率が50%を超える見込みであり、このような地域では早期に売却を検討することが価格低下を防ぐために有効です。
また、立地適正化計画の対象外となるエリアでは、公共交通機関の縮小や生活利便性の低下が懸念されています。これにより、特に若年層の流出が加速し、人口減少が進むことで不動産の需要が減少して価格が下がる可能性があります。
一方、立地適正化計画の対象地域では、都市機能が集約され、利便性が向上するため、価格の維持や上昇が期待できるでしょう。これらの地域の特徴をよく理解し、価格が高いうちに売却するタイミングを見極めることが重要です。
収益物件の売却タイミングを見極めることは、投資家にとって重要なポイントです。市場動向や物件の状態、さらには税制の変更といった要因が売却価格に大きな影響を与えるため、これらの変化を敏感に捉えて最適なタイミングで売却することが求められます。
例えば、金利が下がると、期待利回りが低くても収支が改善し、購入意欲が高まるため、売却価格の上昇が見込まれます。また、株式市場が活況を呈している時期や、金融緩和が進むことで不動産市場への資金流入が増え、取引が活発化します。
物件の状態にも注目し、最適なタイミングでの売却を考えることが大切です。例えば、大規模な修繕が必要となる前に売却することで、高額な修繕費を回避することができます。さらに、相場より高い賃料を設定している物件は、投資家にとって魅力的であり、高値での売却が可能となる場合もあります。
空室が続いて収支が悪化している場合や、物件の老朽化が進んでいる場合は、早期に売却を検討した方がよいでしょう。
収益物件が赤字になった場合、売却するべきか保有するべきかを判断する際は、「キャッシュフローの赤字」と「会計上の赤字」の違いを理解することが重要です。実際のキャッシュフローが黒字であれば、会計上の赤字だけを気にして売却を急ぐ必要はありません。
また、高齢化が進む地域や過疎化が懸念されるエリアでは、早期に売却することで価格の低下を防ぐことができます。特に地方都市では、相続物件や空き家が増えると予測され、住宅需要の低下が進むため、早めに売却を検討することが有効です。