コンバージョンとは?収益物件の売却における活用方法
コンバージョンは既存の建物の用途を変更し、新たな価値を生み出す手法で、コスト削減や工期短縮が可能です。地域のニーズを把握し、適切な用途変更を行うことで収益性を向上させます。オフィスやシェアハウスへの転用事例が成功を収めています。
目次
不動産業界におけるコンバージョンとは
コンバージョンとは、既存の建物の用途を変更して新たな価値を生み出す手法です。例えば、オフィスビルをマンションやホテルに転換することが一般的です。解体や建て替えをせず、既存の構造を活用するため、コストを抑え、工期も短縮できます。特に都市部での空きオフィスの転用が増えています。
◇コンバージョンの定義
コンバージョンは、既存の建物の用途を別の目的に転換する方法です。不動産分野では、建物の現状を活かしながら、オフィスビルをマンションやホテルに改装する事例が多く見られます。この方法は、建物を解体せずに、既存の構造を再利用する点が特徴です。
この手法では、低コストで工期を短縮できるため、経済的なメリットが大きいです。日本では、特にアクセスの良い立地にあるオフィスビルのコンバージョンが進んでいます。空きオフィスが多く見られるため、住居系への転用がよく行われます。
オフィスビルは、広い間取りや大きな窓などが特徴で、用途変更が比較的簡単に行えます。そのため、コンバージョンによって収益性が低いオフィスビルが新たな価値を生むことが可能です。都心の空洞化を防ぎ、再び人々を呼び戻す効果も期待されています。
◇リノベーションとの違い
リノベーションとコンバージョンの違いは、建物の用途変更の有無にあります。リノベーションでは、建物の目的を変えることなく、性能や価値を向上させることが主な目的です。例えば、古い建物の内装を修復して機能性を高めることがリノベーションに該当します。
一方、コンバージョンは、建物の用途を変更して新たな価値を加える手法です。例えば、古民家を改修してカフェにしたり、廃校をホテルに変えたりすることがこれに当たります。構造躯体を活かすため、環境にも配慮した方法として注目されています。
コンバージョンで生じるオーナーへの負担
用途変更には、建物の用途を異なるものに変更する手続きが必要です。例えば、住居を飲食店や旅館に変えたり、工場を物販店舗にする場合です。手続きには書類提出、自治体や消防、保健所への確認が含まれ、場合によっては確認申請も必要となります。
◇各種手続きの手間
用途変更の手続きは、書類の提出や関係機関への確認を含みます。新しい用途に対応した工事が必要となる場合もあります。また、用途変更に伴い確認申請が求められるケースもあります。確認申請が必要となるのは、以下の2つの条件に該当する場合です。
1つ目は、建物の用途を特殊建築物に変更する場合です。例えば、店舗から飲食店に変更する場合は確認申請が不要ですが、工場を旅館に変更する場合は申請が必要です。2つ目は、用途変更を行う床面積が合計で200㎡を超える場合です。
例えば、1フロア160㎡の事務所を飲食店に変更する場合、1階だけの変更なら200㎡以下なので確認申請は不要です。しかし、1・2階両方を変更する場合は合計320㎡となり、確認申請が必要となります。
◇費用
用途変更を行うには、書類準備や営業許可の取得などの手間がかかります。事前に建物の現状や改修範囲を確認し、必要な書類を整えておくことが重要です。確認申請は建築士が行う必要があり、その費用は80~100万円程度が相場となります。事前に予算計画を立てておくことが大切です。
また、コンバージョンの場合、建築基準法や消防法に基づく工事が求められます。例えば、オフィスを住居に転用する場合、避難経路の追加やバルコニーの新設、防災設備の強化、構造の耐荷重基準を満たす工事などが必要です。
所有不動産を収益物件にコンバージョンする際のポイント
コンバージョン建築を成功させるためには、地域のニーズに合った用途を選ぶことが最も重要です。地域の状況や需要を正確に把握することで、適切な用途を選定し、成功に繋げることができます。
◇ニーズを調査
地域のニーズを把握するためには、まず人口統計データを活用して、地域の年齢層や所得層を確認します。次に、消費者行動調査を通じて、地域で求められている施設やサービスを特定します。また、地域の経済状況を分析し、購買力やビジネスチャンスを評価することも重要です。
さらに、競合施設の調査を行い、隙間市場を見つけることが求められます。これらの情報を基に、地域で不足している機能や求められる用途を特定し、競争力のある計画を立てることが成功の鍵です。
例えば、住宅地にあるマンションが再開発によってオフィス需要が高いエリアに変わった場合、住居として利用するよりも貸事務所に用途を変更した方が、賃料収入を増やせる可能性があります。このように、地域ニーズに基づいた用途変更を行うことで、収益性を高め、地域にも貢献することができます。
◇物件の流動性を考慮
現在、収益性の高い物件を取得することが難しくなっているため、物件価値を「再生」する方法が主流となっています。築年数が古く空室が多い物件でも、立地条件が良ければ価値が大きく向上し、収益性が高まる可能性があります。適切な再生手法を選んで実施すれば、物件の価値を高め、高値で売却することも可能です。
不動産には、安定した収益を得られる「一棟収益店舗ビル」や「一棟収益マンション」、将来的に地価上昇が見込める「土地」、テナント需要が見込める「一棟オフィスビル」、開発需要が高い「一棟収益マンション」などがあります。しかし、流動性の低い物件は売却が難しいこともあります。
そのため、「バルクセール」を活用して、流動性の高い物件と組み合わせて売却することで、取引が成立しやすくなります。この手法を使うことで、物件を適切に処分し、より高い収益を得ることができます。
コンバージョンで収益物件をバリューアップした事例
コンバージョン事例では、既存の物件を新たな用途に変えることで収益性を向上させる方法が紹介されています。オフィスやシェアハウスへの転用により、低コストで高い収益を実現した成功事例です。
◇住居用からオフィス用へコンバージョン
1Rマンションの活用方法に悩んでいたオーナー様が、立地の良さを活かしてオフィスとして価値を高めた事例です。大規模な設備変更を避け、間取りを大きく変更することなく、少人数向けのベンチャー企業用オフィスに適した工夫を加えることで、オフィススペースが完成しました。
この変更により、従来の賃料から7万円のアップを実現し、収益性を大幅に向上させることができました。物件の用途を変えることで、コストを抑えながらも高収益を得ることが可能になった事例です。オフィス仕様にするための工夫として、設備の簡素化やスペースの活用方法の工夫が重要でした。
◇オフィスビルからシェアハウスへコンバージョン
築46年のビルを再生した事例では、元々社員寮、オフィス、倉庫として使われていた歴史あるビルをコンバージョンしました。5階建てでエレベーターがない古いビルを、オーナー様の希望で建て替えではなく、地域のシンボルタワーとして再生することを目指しました。
ビルの耐震診断を実施し、構造強度を確認した後、市場調査を基にリノベーションを提案しました。2階はシェアオフィス、3階から5階はシェアハウスにリノベーションし、投資コストを抑えながら新しい収益源を生み出しました。このコンバージョンにより、当時は珍しかったシェアオフィスやシェアハウスが注目され、メディアに取り上げられることとなりました。
不動産業界でのコンバージョンは、既存の建物の用途を変更して新たな価値を生み出す手法であり、オフィスビルをマンションやホテルに転換する事例が一般的です。この方法は、解体や建て替えを行わず、既存の構造を活用するため、コストを抑え、工期も短縮できます。特に都市部での空きオフィスの転用が増加しており、収益性の向上や都市の空洞化防止に役立っています。
コンバージョンとリノベーションの違いは、用途変更があるかどうかです。リノベーションは建物の価値向上を目的とし、用途を変更しません。一方、コンバージョンでは建物の用途を変え、新たな価値を生み出すことを目指します。例えば、古民家をカフェに変えることがコンバージョンに当たります。
用途変更には、書類提出や関係機関への確認が必要です。特に特殊建築物に変更する場合や、床面積が200㎡を超える場合には確認申請が求められます。また、変更に伴う工事が必要となる場合もあり、その費用や手間を事前に確認することが重要です。
コンバージョンを成功させるためには、地域のニーズを把握することが不可欠です。人口統計や消費者行動調査を通じて地域の需要を把握し、適切な用途変更を行うことが求められます。また、物件の流動性も考慮し、再生手法を選ぶことが収益性向上に繋がります。
実際の事例として、1Rマンションをオフィスに転用した事例では、設備変更を最小限に抑え、賃料を7万円増加させることに成功しました。また、築46年のビルをシェアオフィスとシェアハウスにリノベーションし、低コストで高収益を実現した事例もあります。このように、コンバージョンは低コストで収益性を高める有効な手法です。